今回は皆さんも良く聞いたことのある言葉で私も好きな詩を紹介したいと思います。
「医は仁術なり」
江戸時代の大医療人・貝原益軒の名著『養生訓』の中に出てくる詩で
「医術を行なう者は人を思う気持ちがなくてはダメだ!」と言っています。
今のような保険診療だからと言って粗末に扱ったり死なせてしまっては仁術とはなりません。
『仁』とは儒教の教えで『五徳』の一つでもあります。
ただし、貝原益軒が生きた江戸時代と現在とは全く時代が異なります。
この時代は今よりもっと身分の差(士農工商)がはっきりしていて、
身分が上のものが優先されて医術を受けられたんだと思います。
それが例え大したことのないものでも。
貧しい農家の人や町民、遊女など社会的な地位の低い人は
治療は後回しにされ、結局手遅れになってしまうケースも多かったようです。
「そんな世の中を変えたい!」
と言う貝原益軒の強い思いを表した詩なのかもしれませんね。
思想家・陽明学者であり、昭和の政治会を支え、
大手会社の社長・幹部クラスのアドバイザーとして多くの活躍を担った
安岡正篤氏の本でこんなことを言っています。。
「仁と言うのは天地自然が万物を育ててゆく創造・造化の徳をいう。
だから人間の生命、健康を増進するのが仁である。
医は仁術なりと言うことは、人を健康にしてやる術、
これが仁術という意味で、謝礼を取る取らぬとかいうことは本来問題ではない。」と。