人間が妊娠して出産を行う場合一般的には産道を通って生まれてくる『普通分娩』とお腹と子宮を切って赤ちゃんを取り出す『帝王切開』の2つのパターンがあります。
普通分娩とは異なり帝王切開では麻酔を使ったり術後の傷の痕や痛みなど色々と心配になる方も多いと思います。
最近では帝王切開を行う割合も増加傾向にありますが術後の痛みや傷跡の他にも
意外と知られていない赤ちゃんへの影響などのデメリットもあります。
今回の投稿ではそんな『帝王切開』の意外と知られていない危険性を解説していきたいと思います。
帝王切開とは?
帝王切開とは上記しましたが産道を通って生まれてくる普通分娩とは異なりお腹と子宮を切って直接赤ちゃんを取り出す出産方法です。
一般的には何らかの原因があり普通分娩が行えない場合に用いられる方法です。
帝王切開になる主なケース
●逆子
●帝王切開を行った以降の出産
●前置胎盤(子宮の位置が普通よりも低い位置にあるため子宮孔が塞がっていること)
●多胎妊娠
●心臓病や脳に異常があり普通分娩を行うのにリスクが伴う場合
●遷延分娩、分娩停止
●妊娠高血圧症候群
また帝王切開には『緊急帝王切開』と『予定帝王切開』とがあります。
緊急帝王切開
普通分娩時に緊急で行われる帝王切開です。母体、赤ちゃんの健康リスク、危険性が上昇した際に医師の判断により行われます。
予定帝王切開
医師などが事前に予定日を決めその予定日に帝王切開を行う事です。逆子や多胎妊娠などの普通分娩時のリスクが高い場合に行われることが多くその他にも事前に予定日を把握できることや入院準備を事前に行えるようなメリットがあります。
帝王切開は増えている?
出典は厚生労働省が公開する「平成29年(2017年)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」中の「診療等の状況」にある「表20 分娩件数の年次推移」
厚生労働省の平成29年(2017年)医療施設(静態、動態)調査、病院報告の概況中の『診察等の状況』にある『表20分娩件数の年次推移』によると帝王切開の割合は20数年で2倍にもなっており2017年では25%を超え4人に1人が帝王切開で出産を行っているとされています。
その要因には結婚年齢が上がり始めて出産する年齢が35歳以上の高齢初出産が増加したことや医療技術の進歩により帝王切開によるリスクが低下したことなどが関係しています。
帝王切開の危険性
ではここからは意外と知られていない帝王切開の危険性について解説していきたいと思います。
まずこの話をする上でポイントになってくるのが『腸内細菌』です。
腸内細菌とは人間の腸内に存在する様々な菌のことですがこの腸内細菌が存在してくれていることで私達は健康な生活を送れていると言っても過言ではありません。
人間は胃や小腸で食べ物を消化します。そして消化吸収できなかった未消化物は大腸へと送られます。腸内細菌はこの未消化物をエサにして発酵や分解を行い代謝物質やエネルギーを作り出します。
この生成で短鎖脂肪酸というものが作られます。短鎖脂肪酸は『酢酸』『酪酸』『プロピオン酸』の3つであり健康と深くつながります。3つの作用は以下の通りです。
◆酢酸
強い抗菌作用で有害な悪玉菌などが増殖しづらい腸内環境を作る。脂肪蓄積予防効果。
◆プロピオン酸
食欲抑制ホルモンの分泌を促進、ビフィズス菌(酢酸や乳酸を作り腸内のバランスを保つ)を生成
◆酪酸
腸の上皮細胞のエネルギーとなる、炎症などを抑える免疫細胞を増やす。
紹介したのはごく一部ですがこのように腸内細菌は健康と深く結びついています。
ではこの事と帝王切開と何が関係しているのかと言うと帝王切開では赤ちゃんの腸内細菌の元となるこのような菌を譲り受けることができないと言う点です。
通常分娩の場合では産道や出産時の周囲から母体から自然と腸内細菌を受け取ることができますが帝王切開の場合産道などからそのように腸内細菌を受け取ることができません。
自然と受け取った菌が赤ちゃんの腸内細菌の元となりますので初期の頃から安定した腸内環境を整えることができ免疫機能が強くなったり感染症に罹りにくくなったりと生物的に生存に優位になります。
帝王切開では元となる菌を譲り受けることができないので腸内の環境を整えるのに時間がかかったり免疫機能が弱く様々な疾患に罹患しやすくなってしまったりもします。
実際帝王切開の上昇と同じくアトピーや小児喘息などの疾患も増加傾向にあるのです。
これが意外と知られていない帝王切開の危険性です。
また抗生物質を使用すると腸内の善玉菌も死滅してしまうため容易に小児の頃から抗生物質を頻繁に使用するのもあまり健康には良くないとされています。
まとめ
今回は意外と知られていない帝王切開の危険性について解説しました。
帝王切開は年々増加傾向にあり出産日を事前に把握できたりとメリットもありますが生まれてくる赤ちゃんに健康の元となる腸内細菌を譲り渡すことができず疾患に罹患しやすかったり強く健康な腸内環境を早期に整えることができないなどのデメリットもあります。
元々の疾患などがある場合や普通分娩時にリスクがあるような場合には帝王切開を選択した方が良いケースも勿論ありますので必ずしも普通分娩が良いと言うわけでもありません。
しっかり担当の医師などと相談し決定するようにしましょう。